これはフィクションです

32歳。男性。自営業。独身。

2020年10月19日午前2時26分

「かっこいい自分であること」

それが至上命題のような種類の人間がいる。本人は気づいていなくても。

SNS全盛のこの時代で、ああいう人たちは生きやすくなっているのだろうか。



「かっこいい」ことと「かっこつける」ことは違っていて、本当はそうでもない自分でもかっこつけて良く見せることはできる。

 

演出して、いいところだけを切り取ってSNSに投稿する。それで信者を獲得する。

実質的には大したことない人間でも、それが可能な時代だ。





しかし、かっこよくなりたいと渇望しているはずの種類の人間が、かっこよくなる努力はせず、かっこつける努力ばかりしている。

 

自分のレベルを上げることよりも、自分はそのままで、どうやって自分よりレベルの低い人間にかっこいいと思われるか?そういう努力をしている。ふむ。



個人的に、そういう拡散力があるカリスマ気質の人間は、手を組む時には有用な相手だ。

だがしかし、向上心を忘れて自尊心だけ大きくなったカリスマはいらんのだよ。



俺が組むべきカリスマを選定する時に、自分の周りに信者しか置いていないカリスマは要注意な気がする。

 

自分の同程度の人間を、下手すれば自分の信者を取られる可能性すらある人物をそばに置いているか。ここでカリスマの強弱が分かれる。

 

また、下手に信者に囲まれているより、ちやほやされたいはずの性格なのに、人を寄せ付けていない孤独なカリスマの方が強そう。





しょうもない人間がさらにしょうもない人間たちを周りに侍らせて王様気分なのは、もはや見慣れた風景で安心感すらある。この世の風物詩のひとつ。



しかし、自分が見下している人間が、信者に評価されているのを見るとイライラする。

まあこれは、個人的に押し潰しておくしかない感情だろう。視界に入れなければいいだけ。新興のカルト教団をいちいち壊滅させていても仕方ない。



みんな、自分の教祖を好きに選べばいいのです。自分の思想を作り出すより、誰かの思想に染まるほうが効率的だ。



自己実現に憧れて自分だけの仕事を作り出すより、「自分の仕事を作り出すキット」を買ったほうがいい。そういうのが本当に売っているからおもしろい。

 

なんでも買える、便利な時代です。日本はここまで豊かになりましたとさ。