これはフィクションです

32歳。男性。自営業。独身。

2020年10月26日15時42分

「あ、この人死んだな」

 

Facebookを見ているとそういう投稿に出会うときがある。



なにかに挑戦し失敗。へこたれて、挑戦をやめる。

 


「家族との暮らし、日々の幸せを大事にして生きていきます」



てきなことを言い出す。

 

人としての幸せのはじまり。そして、男としての死。



みんな一度の失敗で死んでしまうからつまらん。そこから立ち上がってからが本番だぞ。




まあ、引き返せるなら引き返したほうがいい部分もある。

 

突き進んだところで、なにかが得られる保証があるわけでもなし。

 

俺はもう引き返せないところまで来てしまったので、このまま進んで途上で死にます。




やはり引き返すなら、最初の失敗のときだな。

 

俺だったら23歳のとき。あそこが逃げ出す絶好の機会だった。



逃げてもいいと自分でも思っていたが、結局そうはならなかった。

 

なにか、とてつもなく大きなものの力で引き戻された。そして戻ることを自分で選んだ。




人の一生には、そういうものがあるね。みなさんは知らないかもしれないが。

 

定められたこと。人生は自由に思えて、実は決められていること。業。呪い。宿命。



そこから逃げ出すこともできる。与えられた選択肢を拒否することができる。

 

しかし、それが自由だということではないのだな、これが。



定められた運命に従うことを、自分の意志で選択する。

 

運命を受け入れ、しかし自分の意志でここに立っているのだと思えることが、本当の自由だと俺は思うね。