これはフィクションです

32歳。男性。自営業。独身。

東京。2022年6月

東京。昔の友達と数年ぶりに会う。

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彼との会合はいつも不思議で、話題が予想していなかった方向になる。共通の知り合いたちも、まさかこの2人がそういうことを話し合っているとは思わないであろうもの。しかしいざそれが話題として設定されると、それは実は自分が誰かと語りたかったことであると気づく。ので話は盛り上がる。


当時、お互いに同じような目標を追っており、数年をへて2人ともそれは達成したのだが、自分がどれだけがんばってきたか?という話にはならず、この数年で失ったものについて話をした。手に入れたものではなく。

 

勢い。非常識さ。自分が正しいと信じられること。

 

我々は経営能力を手に入れ、目標を実現する力を得たが、そういうものは失った。普通に大人になった。


しかし、自分たちより年上でも相変わらずクレイジーな人もいる。あれはなんなのだろうな?おそらく本当に頭がおかしい人たちなのだろう。あまり関わらない方がいい。

 

散々と非常識ネタをいじくってから、でもあれはあれでアリだよな、となる。

1つの目標に向かって全力でアクセルを踏めること。その価値は大きい。たいていの人間は迷ってしまう。何かを強く信じられない。その目標が間違っていてもいいのだと思う。とにかく全力でアクセルを踏めるのはすごい。若さ、と呼ぶのにふさわしいと思う。未熟な自分を思いきり世界に発信できる客観的な目線のなさ。

 

非常識さを詰れる常識と、でもそれを価値だと肯定できる見方が共通できていてよかった。

近くにおかしい人間が居ながら自分の精神を保つには、そういう考えにたどり着くしかないのだろう。我々は苦労している。

 

普通の人間が越えない一線があるが、そういう一線を越えていくのがおもしろいよね。
なんだかんだ言いつつ、友達もまだまだ非常識で、それを楽しんで笑っている俺も非常識なのだろう。人間としてどうしようもないが、ゆえに強く役に立つことがある。