これはフィクションです

32歳。男性。自営業。独身。

「自己実現」と「親」

「大学を退学・休学したくて親とモメた」という話を連続で聞いたので、自己実現と親について書きます。いいテーマだね。自己実現と親。自己実現の話をするならば親の話はしておかなければならない。

 

 

10年前に大学生だった俺は「起業」という選択肢を知り、それまで描いていた人生のプランが激変した。「会社って自分で作ってもいいんだ」

俺の人生計画にはなかった起業と経営が出現し、日本社会のバカさ加減とわずらわしさに心底うんざりしていた俺は、独立してひとりで生きていけるかもしれない未来にワクワクした。自分の夢を叶えるには、経営という手段が最適だと思った。

 

でも、じゃあどんなビジネスをするのか?自分でビジネスをする将来を実現するために、どういう進路を選べばいいのか?

めちゃくちゃ迷い、分からなくなり、「今はまだ分からない」という結論になった。なので決断を先延ばしにするために休学したいと思った。1年あればなにかが見えてくるだろうと。

東京のアパートから群馬の実家に戻って休学を親に相談した。断られた。色んな角度から交渉をした。断られた。人生で初めて、自分のやりたいことを親に語った。断られた。俺は親を説得することを諦め、休学をしないことにした。

 

 

大学生たちの、親とモメた話はおもしろくて、「うわ〜そんなん言われたわー!」と思う。

 

「お前のやりたいことは宗教だ」とか。「お前は悪いやつに洗脳されている」とか。「今までなにも相談しなかったくせに、都合のいい時だけ親を頼る。親をなんだと思っているのか」「休学費用50万円と簡単に言うが、50万円を稼ぐのがどんなに大変か知っているのか」「お前の考えていることは甘い。社会では通用しない」「やりたいことをやるのは就職してからでも遅くない。いったん就職しろ」

 

フフフッ(笑)言われたなあ。マジで嫌な思い出だったのだろう。今回まで思い出さなかった。

 

 

今回のテキストは書くのに悩むな。老害の思い出話にはしたくないのだが、なってしまう。

 

親との交渉術、とか、そんなことを言いたいのではないのね。そもそも俺、知らないし。ウケるよな。顧客やチームメンバー、アンチとでさえ上手くやる方法は身につけたけど、親と上手くやる方法は10年前と変わらず知らないんだ。

 

 

 

 

自己実現」と「親」
この食い合わせは悪く、自己実現をしようと思えば、親は、悲しませることになると思う。

 


「大学生の時には親と衝突した。自分も泣いたし、親も泣いた。結局分かり合えなかった。でもその後に諦めずにがんばって、少しだけ自己実現して、親孝行できるようになって、親も歳をとって、自分も歳をとって。当時は理解できなかった親の考えが理解できるようになって。あの時は上手く話せなかったことが、ちょっとは伝えられるようになって、親も自分が努力していたことをずっと見ていてくれて。こないだ実家に帰った時に親といろいろ話して、『やっぱりお前のやりたいことはまだよく分からないけど、でもそれでも応援するよ』って言ってくれて」

 

いま31歳。みんなの10年後の俺。その俺になにを期待した?

悪いが、俺はみんなの期待を裏切るよ。

 

休学について親、特に親父とモメた俺は、10年後の現在も親父との関係は微妙ww

 

俺がいま何をしているのか?親父は知らない。なぜなら俺が話さないから。10代の頃から親父と価値観は合わなかったが、休学の件で、そしてその2年後に起こる俺が新卒で入った会社をやめる件で決定的になった。俺にとって親父とはそういう存在。俺のなにかを語ることもないし、親父のなにかを聞きたいとも思わない。俺は親父と分かりあえず、俺がやりたいことを理解も認めてももらえず、そのまま親父が死んでいくのだと思う。俺たちはそういう親子であった。

 

 

 

親と仲良くやっている自己実現くんも全然いるよ!むしろそっちが普通じゃないかな?30過ぎて、親と思春期の中学生みたいなコミュニケーションしか取れない俺がしょぼいと思う。

 

しょぼい俺は、自営業のくせに「親と妹夫婦と温泉旅行!」みたいなやつを見ると鼻で笑ってしまうんだ。つまらねえ野郎だなと思ってしまうんだ。

 

「親と仲が良い」


それはお前のビジョンが小さいからだよと思ってしまう。親が理解できる範囲のことしかお前がやってねえからだろう。小せえ。つまらねえ。親は泣かしてなんぼの商売です。身近な人間の心を傷つけまくっての人生です。

 

 

 

 

 

 

 

 

ごめん。ここからの、というか、このブログは読まなくてよかったかもしれない。ただひたすらに俺の歪んだ価値観を、誰にも理解されることのない思想を、いずれ独り惨めに死んでいくであろう人間の話をするだけになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

親とモメてこい。

 

父親は怒らせて、母親は泣かせてこい。

 

自分がやりたいことをやるってのは、そういうことだろう。

 

自分を貫けば貫くほど、昔からの人間関係は壊れていくもんだ。親。兄弟。地元の友達。そういう人間たちと仲良しでいたいなら自己実現やめな。地元で就職して結婚して子供作れ。そうやってお前の人生を幸せにしていけよ。自己実現を考えていた自分を「若かったな」って懐かしめ。

 

 

なにかを得たければ、なにかを差し出す必要があんだよ。

大きなものを得たければ、大きなものを捨てる必要があんだよ。

なにも捨てずに得られるものなんて、たかが知れてんだよ。

 

 

「成功したのは運がよかったから。ラッキーだっただけ」って俺は謙遜して言ってんだ。本当に信じてんじゃねえ。

俺の現在だけを見て「自由で羨ましいな〜」ってぬかしてんじゃねえぞ。

 

俺の現在、欲しけりゃくれてやるよ。その代わり、俺がしてきた苦しみもセットで渡すからな。

 

お前らが「つらい」って逃げたところを、こっちは突っ切って来てんだよ。何回も。

お前らが「ああいう人生にはなりたくないな」と思うような人生を、こっちは過ごしてきてんだよ。何年も。

 

4年前、2018年のクリスマス、お前が仕事終わりに恋人と待ち合わせていた最寄駅の改札。「ごめん、ちょっと遅れる!」その恋人からのLINEに「おけ!」と返信してスマホから顔をあげたその時、お前の横を通り過ぎていった男を見ていたか?あれが俺だよ。あの時の俺は夜勤の派遣バイトに行くところだったんだ。それでいいのかよお前。俺の現在が欲しけりゃ俺の過去も味わえ。恋人と幸せな時間を過ごす代わりに、工場で日給8000円で働いてくれ。

 

 

そういうことだぜ、なにかを手に入れるってのは。手に入れるまえに、失う必要があるんだ。

 

 

 

 

俺だって親とモメたくはない。親に自分の価値観を否定されたくないし、俺も親の人生を否定したくない。父親を怒らせたくはないし、母親を泣かせたくもない。

でもやりたいことがあった。実現したいことがあった。親を泣かせてもな。だから泣かせた。それだけのこと。親と上手にやる方法があったら俺が教えてほしいです。

 

 

 

 

 

 

親とモメてきな。俺はその先で待つ。