これはフィクションです

32歳。男性。自営業。独身。

「幸せは、この塔の頂上に」

お金や成長を、大きくなることを目標とすると終わりがない。迷路、暗闇。どこまでも続く塔を登ることになる。良くなっているようで、その実は囚われている。

 

唯一の終わりは時間。寿命。死ぬまでにどこまでいけるか。終わりが寿命しかない目標は持ちたくない。持ってもひとつだけにしておこう。



企業に設立の目的があるならば、目的を果たしたならその企業は終わっていいはずだ。商品もそう。小さなグループもそう。本当に目的があるならば終わりがあるはず。目的を果たしたのに終わらないから、ゾンビ企業ができてしまう。ただカネを稼ぐだけの装置。





自分と他人は関係ない。

 

俺が本当にそう思えていることは大きなアドバンテージ。普通は思えない。

 

ここはグラデーションではない。思うか思わないか。それだけ。

 

少しでも他人と比べる発想がある時点で終わっている。どれだけその気持ちが小さくなろうが消えはしない。理性で押し込めているだけ。押し込めているとはつまり、余計な力が常に入っているということ。自然体ではない。自然体ではない人間は、いつかどこかで壊れる。







周りに影響され、登るべきではない塔を登らされる。それだけは絶対に避けたいと思っている。



ーーー

 

荒野に、一本の塔がある。



みんなが目の前の塔に登っている。みんな、自分が一番早く登ろうとしている。

 

もうずいぶん高いところにいて、こちらを見下ろしている人もいる。「お前も早く登れよ」と急かす声。



塔の入り口には立て札がある。



「幸せは、この塔の頂上に」



果たして、本当だろうか?

 

ーーー




塔、というのは人生における選択肢を示している。「お金をたくさん稼ぐこと」みたいな。

 

自分に芯がないと、みんながいいと思っているものがよく見えてしまう。みんなが持っているものを自分が持っていないと不安になってしまう。

 

収入が高かったり、Twitterのフォロワーが多かったりする人が「これがいいよ!」と言っていると、それが欲しくなってしまう。



そしてインフルエンサー全員が、自分の生き方、自分の会社、自分の商品、自分のコミュニティが「あなたが幸せになれる唯一のもの」と宣伝して売ってくる。彼らは宣伝が上手なので(そうかも)と思って買ってしまう。





本来、人間にはそれぞれの人生で「自分が本当にやるべきこと」というのがあって、それをやることが本人は最も充実して幸せになれる。

 

「自分がこの人生で本当にやるべきことはなにか?」という問いを持って毎日を暮らし、これかな?と思うことを見つけたい。



しかし現代はノイズが多く、やるべきでないことをやってしまう。情報発信してるやつ、ほんとうぜえわ。お前らのSNS投稿は青汁のCMと一緒だし。「おっ、いい話だな」と思って投稿を読んでいたら、最後にセミナーの営業をぶつけてくる。死ね詐欺師が。お前らのことは今後、「青汁」と呼ぶ。




人生で自分がやるべきことを「運命」と俺は呼んでいて、その運命から遠ざかる行動をしたくない。タピオカ屋やるとか。

 

お前が死ぬ思いで身につけた経営力は、タピオカ屋をやるためのものなのか?

絶対に違うね。それは俺の運命ではない。俺が人生でやるべきことはタピオカ屋ではない。



自分の次の運命はなにか?それに出会うのが今の目標である。